東京モーターサイクルショーに行ってきました。
金曜日のプレス枠の後、午後からの一般入場でしたので、さほど混んではいなかったのですが、そこそこ人はきていました。
総評から先に入らせてもらうと、バイク業界が、上辺は活発になっていて、実際は衰退しているのがよくわかりました。
筆者は常々、バイクの閉塞感を訴えてきました。
そのひとつがオートマ化に対しての偏見で、いまだに「スクーターはバイクじゃない」「オートマはバイクじゃない」などという、自称硬派なバイク乗りが多く、それを打ち破ったホンダのDCTは賞賛していますし、NC700X ABS DCTのオーナーでもあるわけです。
また、所有するGileraのDNA180は、CVTユニットをつんだバイクで、ようはスクーターと同じようにアクセルと、前後のブレーキだけの、シンプルで乗りやすいコミューターであることは。NC700系DCT車と共通する「魅力」であるといえます。
ところが、そのDCTを上回るような閉塞間の破壊というのは、まったくありませんでした。
魅力的なルックスを備えたバイクが並びましたが、DCTのようなオートマチックを扱うバイクメーカーはほとんどなく、そのメーカーの魅力ともいうべきルックスのみが強調され、知的なインパクトをもつ発表があったのは、せいぜいヤマハの3気筒で、それでもトリプルについて、いまさらヤマハに語らせなくても、トライアンフという三叉槍が明確に利点を貫いていままでバイク作りをしてきているわけで、こうなるとバイクに現代の人が求めているものと、バイク屋がバイクとはこういうものと思い込んでいる部分との溝は、まったく狭まっていないと思えるわけです。
そんな中、コミュニケーションツールであるところの、B+COMや、SENAのブースが目立ち、
その力の入れようは、現代の若者のバイクライフをよく観察していると思いました。
正直、気筒数とか、性能が、という部分にこだわっている限り、バイク業界に明日なんかありません。
本田のNC700シリーズは、安さを武器に盛り返してる、という意見もあるけれど、たしかに安いものには飛びつきますが、それはそこまでのものです。
液晶テレビの買い替えと同じで、買い換えるべき人がNC700に買い替えても、そのあとすぐに買い換えるわけではありませんから、今の富強を数年後に延命したに過ぎないのです。
それでも、NC700系にはDCTがあり、そのAT化こそあたらしい客層、そしてリターンを狙うマストウエポンだったと、筆者は考えるのです。
営業の仕方、広告の打ち方をハーレーやBMWからパクって盛り返しているように見えても、本質の部分が現実の風雨にさらされれば、同じ行き詰りを感じることになるのは目に見えているからです。
今、ユーザーが求めている、あるいはユーザーになりうる人たちがもとめているのは、バイクっていうのはこういうものだという思い込みや偏見をぶちこわし、フレンドリーで、コミュニケーションツールとしても役に立ち、パーソナルユースでは車以上に便利なものなのです。
早い、よく曲がる、軽い、とかいうスポーツ分野では決してありません。
それは、ここ近年のバイクに、エンデューロのモデルが増えてきたことが証明しています。
早い、峠を攻められる、ではなく、オンロードを旅する、近代的な利便性を求められているのです。
第一、バイクがスポーツとして一般人に楽しめる場所は減りつつあり、公道での違法行為をもってスポーツと名づけるのは論外で、今の御時勢に、峠を攻めるためのバイクなんか売れるわけがないのです。
そういう意味で、今回注目すべきバイクメーカーは皆無であったと、筆者は感じています。
そんな中、多少の興味をひかれたのが、まずはピアジオの、MP3 Sportsで、ルックスはひどいもの、先行してアメリカなどでは動いているフォコの125版だ。
これは、トライクのもつ、後輪が2つというスタイルではなく、前輪が2つというスタイルなのですが、残念ながら、このピアジオの3輪は、きちんとハイサイドしてしまうし、停車時の安定度以外の利便性がほとんどないものめずらしさしかないというのが、MP3やフォコが販売された直後から感じている感想。
それでも、その停車時の利便性や安定を求める声はあるのだろう。
発売当時、ノーヘル、車の免許で乗れるなどとしたせいで、バイクの運転の仕方を知らない素人が転倒しまくったのは記憶にあたらしく。、二の舞にならないように。
今回の一番の注目は、エムクラフトでした。
栃木県の会社で、サイドカーを出品。
カブについていたものが汎用品で、38万で、このサイドカーが、250以下であれば、ほとんどの車両にとりつけ可能(すべてこみこみ)というのがたのもしい。
バイクにサイドかーつけたらもうバイクじゃない、という人は、その時点で、もう偏見の持ち主だ。
バイクとは多少、特性がかわるだけで、サイドカーにパートナーがすわり、その横でバイクが走るスタイルは、明らかにバイクの歴史の中では古くからあるスタイルで、現代では利便性によって忘れられたゆとりのあるバイクライフだ。
いうなれば、オープンカーであり、あるいはカブリオレに近い。
くしくもフィアットの500Cがカブリオレスタイルで昨今人気を稼いでいることを考えれば、これこそがバイクの購入層の期待にこたえるものだといえるだろう。
つまり、AT化のはたされた今、今、バイクに求められるのは、「プチ贅沢」「バイクでの新しい楽しさ」で、その前では多少の不便さは多少我慢される。
むしろ、なぜ、バイクのオプションに、サイドカーがないのか。
日本車が昨今、真似をして人気や業績を伸ばしているハーレーも、BMWも、サイドカーというオプションがある。
古くはウラル、そして、韓国のヒョースンですらサクマエンジニアリングと提携して250のサイドカーを出している。
日本車だけが、このサイドカーについて、まったく無頓着なのはどうかしているとさえ言える。
むしろ現段階でAT化がすすんでいないヤマハ、スズキ、カワサキの未来のほうが心配で、それはBMWやハーレーも同じだ。
それでもBMW、ハーレーにはサイドカーがある。
今後は、ミニサイドカーが流行するだろうし、屋根付きがその上の贅沢になり、そうなると、今度はバイクとサイドカー一体のバイクが出るだろう。
来年のモーターサイクルショーで、どのようなバイクが出品されるか、今から楽しみである。
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